語学学習コラム(語学習得に必要な勉強量)
語学をそれなりに話せるようになるにはどのくらい勉強すればよいのでしょうか。
これには諸説ありますが一つの目安として有効なのは1000時間の法則でしょう。
1000時間の法則
一般的に特定の言語を1000時間勉強すると支障なく使えるようになる、と言われています。
ただこれは欧米系の、つまりはインド・ヨーロッパ語族の言語をネイティブとする人が同じ系統の諸語を勉強する場合の話だと思いますので、日本人が英語を勉強する等、ほかの系統の語学を勉強する話になると少し事情が異なります。
日本人の場合は韓国語は1000時間で支障なく使えるようになるでしょう。
中国語や英語はもう少し頑張って1500時間くらいでしょうか。
毎日4時間勉強した場合
そもそも1000時間というのはどのくらいのボリュームなのでしょうか。
例えばインテンシブコースで語学学校に毎日4時間通う場合、ひと月(20日)で約80時間、3か月がひとつのタームの場合が多いと思いますので、1学期で240時間。
つまり1年間 = 4学期(240時間 × 4) = 960時間となり、1年で約1000時間になる計算ですね。
よくできているものですね。
実際にはこのほか宿題したり自習したりと色々な勉強時間ありますので、1年で1000時間以上勉強することになるはずですが、目安としては1つの言語は毎日4時間勉強すれば1年間で身につくということですね。
インテンシブコースは毎日4時間とは限りませんので、他の時間の場合どのくらいの時間数になるのか考えてみましょう。
毎日3時間勉強した場合
毎日3時間勉強する場合、ひと月(20日)で60時間、3か月を1タームとして1学期で180時間。
1年間 = 4学期(180時間 x 4) = 720時間。
1年半 = 6学期(180時間 x 6) = 1080時間。
毎日3時間の学習の場合は1年半の時間がかかるようです。
毎日2時間勉強した場合
毎日4時間勉強した場合の半分ですので、いちいち計算する必要もありませんが、一応の参考の為に計算してみましょう。
毎日2時間勉強する場合、ひと月(20日)で40時間、3か月を1タームとして1学期で120時間。
1年間 = 4学期(120時間 x 4) = 480時間。
1年半 = 6学期(120時間 x 6) = 720時間。
2年間 = 8学期(120時間 x 8) = 960時間。
毎日2時間の学習の場合は2年間の時間がかかるようです。
これらの結果は韓国への留学生が1年程度を目安に来る人が大半なのに比べて、台湾への留学生は2年程度を目安に来る人が多い、という実際にも即している数字になっていると思います。
1000時間の途中経過
さて、1000時間の法則ですが、個人的な感覚としては800時間勉強したあたりから支障はあるにせよある程度話せるようになったと実感し始めるのではないでしょうか。
こうした数値は絶対的な指標ではありませんが、モチベーションを維持したり、現在の自分の学習進度を測る1つの参考にはなりますね。
テストとの整合性
1000時間の法則を語学学習の1つの参考になるとして見てきましたが、これ以外で参考になる指標としては語学の試験がありますね。
英語で言うならTOEFLやTOEIC、ドイツ語であればTestDaFやDSH、その他GoetheInstituteが実施している試験、韓国語であればTOPIK、中国語であれば簡体字のHSKや繁体字のTOCFLですね。
例えば台湾の外国人の為の中国語試験TOCFLが公開している基準では、その学習時間の目安は1000時間ではなく、以下のようになっています。
測驗等級 Level | 建議學時 Indicative Course Hours 華語地區 In Chinese-speaking areas |
建議學時 Indicative Course Hours 非華語地區 In non-Chinese-speaking area | 建議詞彙量 Vocabulaty Base |
入門基礎級 入門級 Band A Level 1 | 120-240小時 120-240 hours | 240-480小時 240-480 hours | 500 |
入門基礎級 基礎級 Band A Level 2 | 240-360小時 240-360 hours | 480-720小時 480-720 hours | 1000 |
進階高階級 進階級 Band B Level 3 | 360-480小時 360-480 hours | 720-960小時 720-960 hours | 2500 |
進階高階級 高階級 Band B Level 4 | 480-960小時 480-960 hours | 960-1920小時 960-1920 hours | 5000 |
流利精通級 流利級 Band C Level 5 | 960-1920 小時 960-1920 hours | 1920-3840 小時 1920-3840 hours | 8000 |
流利精通級 精通級 Band C Level 6 | 1920小時以上 more than 1920 hours | 3840小時以上 more than 3840 hours | 8000 |
1000時間では全然ダメみたいですね…。
台湾現地に住んで2000時間、母国に住みながら学ぶのであれば4000時間ほど勉強する必要があるようです。
TOCFLに限らずですが、公式サイトは試験範囲や学習教材、模擬試験もあったりと何かと語学学習の参考になりますので是非チェックしましょう。
ちなみにTOCFLでは、以下のURLより目安となる8000語の語彙がダウンロードできます。
http://www.sc-top.org.tw/download/8000zhuyin.zip
10000時間の法則(蛇足)
また似た概念として10000時間の法則というのもあります。
これは特定の技能が一人前になるのに必要な時間といわれています。
とある会社に就職した場合、1日8時間労働、月に160時間、年に1920時間。
5年で10000時間程度になることを考えると「3年で退職するな、一人前になるには5年はかかる」と世のおじさんが言うのは、経験則に基づいているにしろなかなかうまく的を得た言葉だということがわかりますね。
この法則には反論もたくさんあるようですが、最近では3年どころか1、2年で転職するのがトレンディーだそうですが、些か心配ですね。
ちなみに毎日8時間勉強したとしても(そんなに勉強しないと思いますが)大学学部4年間では10000時間には足りないということも分かりますね。
特定の分野の大学を出た程度で専門家ヅラをしてはいけない、ということですね。
修士や博士の課程まで進むと専門家としてどのあたりのポジションとなるのか、1つの目安として調べてみても面白いかもしれませんね。