言語学習コラム(「久しぶり」という概念)
日本語でよく使う表現の一つに「久しぶり」と言うものがあります。
10年でも1か月でも、1週間でも挨拶の時に使える便利な言葉「久しぶり」です。
この「久しぶり」を外国語で考えるといろいろ面白かったので紹介しておきます。
英語
「long time no see」と言いますね。
説明するまでもないと思いますが「long」は「長い」、「time」は「時間」、「no」は否定形、「see」は「会う」ですね。
直訳すると「長い時間会いませんでした」と言うことです。
ドイツ語
「lange Zeit nicht gesehen」と言います。
「lange」は「長い」、「Zeit」は「時間」、「nicht」は否定形、「gesehen」は「会う」。
直訳すると「長い時間会いませんでした」ですね、英語と同じです。
中国語
「好久不見」や「好久沒見」などと言います。
「好久」は「長い間」、「不/沒」は否定形、「見」は「会う」ですね。
直訳すると「長い間会いませんでした」と言うことですね。
英語の直訳のような言い方をします、面白いですね。
韓国語
「오래간만이에요」やその縮約形の「오랜만이에요」と言います。
「오래」は「長い間」、「간」は「間」、「만」は(おそらく)「~だけ」ですね。
つまり直訳すると「長い間(だけ)です」ということです。
後ろに何らかの語が省略されていると推測すると、恐らく言わんとするところは「長い間(だけ)会っていなかった」でしょう。
どの辺りが面白いのか
私が面白いと思ったのは各国語共に「長い間会っていなかった」という事実を述べていることです。
これを日本語で考えると「久しく会っていなかった」と言うことですね。
語感からわかると思いますが「久しく会っていなかった」と「久しぶり」は結構ニュアンスが異なります。
「久しぶり」は基本的に挨拶ですが、それ以外に「久しぶりに~する」という肯定文を導く積極的な言い回しとしても使えます。
- 久しぶりに外に出る
- 美味しいご飯は久しぶりだ
稀に「久しぶりに~しない」と言うこともありますが、積極的にその選択を取るというポジティブなニュアンスでしょう。
重要なのは「~ぶり」というところなのかと思います。
上記の様な日本語訳を他の言語のネイティブに尋ねると結構考え込みます。
特に用言として「久しぶりだ」という言い方が難しいようでした。
どのくらい自然な言い回しなのかはわかりませんが、以下の様に言えるだろうということです。
- 久久才出門一次 / 很久才出門一次
- 很久沒吃到那麼好吃的飯
中国語では「長く経ってやっと~する」や「長い間~していない」というようです。
- Go out for the first time in a long time
- It’s been a while since I have eaten this last time. / It’s been a while since I ate this last time.
英語では「長い間でそれをしたのは初めて」であったり「最後に~してから長い間経っている」という言い回しをするようです。
韓国語は日本語と同じような言い回しを使うので直訳できます。
- 오랜만에 밖에 나가다.
- 맛있는 밥은 오랜만이다.
これはおそらく「長い間(だけ)」の「だけ」が効いているのかと思います。
中国語などのように「長い間会いませんでした」を直訳調に以下の様にも言えるからです。
오래 안 봤어요.
長く会いませんでした。
もっと多くの人に確認したいですね、なかなか面白いと思います。